アルゼンチン

死を覚悟した日。-後編-

 

 

こんにちはっ!

 

 

今日は

死を覚悟した日。-後編-

 

 

 

キャンプ場に着いた私たちは
持って来ていた食材で

簡単料理をします。

 

 

と、言っても
このキャンプ場、

テントをはれるスペースがあるだけで
炊事が出来るような場所なんかは一切ありません。

 

なのでテントの中で
静かに作るのです・・笑

 

 

 

スープを飲んで体もポカポカ。

もう寝ちゃおう!

 

 

 

明日は朝5時には

ここを出なきゃいけない!

 

そう言って
すぐに寝ることにしたんですが。。

 

 

寒すぎるんです。

 

 

 

しかも、、
台風並みの強風。。

テントに隙間風が入ってくるばかりか

 

 

テント自体が
ひっくり返りそう。。

 

 

借りた寝袋は一応

【マイナス10度まで対応】
と、書いていましたが

 

 

ん?どのへんが?

 

 

 

と言いたくなるくらい
とにかく寒かった。

 

 

足なんか
靴下2枚も履いてるのに

氷のように冷たい。

 

 

 

顔なんか出してたら
顔中の毛穴が閉じちゃうくらい、

本っっっ当に寒いのです!!

 

 

 

 

でも、こんな事わかってた。
だって、ここエルチャルテン。

 

昼間、
ちょっと外出ただけで、ものすごい寒いんだもん。

 

 

夜、テントで寝袋包まったくらいじゃ
寒さなんて防げない!!

 

 

 

ものっすごい寒いことは

想定内。

 

 

 

だから、
持ってる洋服の、

最大限の防寒でここに来た。

 

 

 

 

ホッカイロだって貼ってる。

 

 

 

 

でもね、、

 

 

 

 

夜中の寒さは尋常じゃなかった。(´;ω;`)

 

 

 

 

寝れやしない。
ずっと震えが止まらない。
床は氷のように冷たい。

 

 

全然体、休まらない!!!

 

 

 

 

そんなこんなで
ようやく目覚ましが鳴りました。

 

朝、4時半。
出発の準備をします。

 

 

5時。

 

 

出発!!!!

 

 

 

 

って、

 

 

 

 

暗ーーーーい!!

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ホラー!!

ホラー映画!!
絶対なにか出てくるやつ!!

 

 

 

ヘッドライトを付けて進みます。

 

自分が今どんな場所にいるのか
全くわからない。

 

 

 

暗いくせに
こんな細い橋・・

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とにかく歩きました。

『こっちで本当に合ってるの?』

 

 

確信もないんです。

 

 

なんたって、
看板表示も少ないし

これ道ないじゃん!!って場所でも
ちょっと進むとちゃんと道につながったり、

この道で合っているのか、
フィッツロイはこっちの方向にあるのか、


何も見えないし
何もわからないんです。

 

 

 

これ・・一人で来てたら・・

 

 

 

そう思うと

ゾッとしました。

 

 

 

『な、仲直りしてよかったね・・』

二人して苦笑い。笑

 

 

 

 

だいぶ登って来た。

 

重い荷物はテントに置いてきたし
昨日よりはまだ歩くスピードも早い気がする。

キャンプポイントからフィッツロイまで
平均、1時間半くらいって聞いてたし

 

もうそろそろかな?

 

 

 

・・なんて
思っていたこの時は、

 

まだ幸せでした。

 

 

 

 

それからさらに
数十分、歩いたでしょうか。

 

目を疑う光景が見えてきました。

 

 

 

傾斜65度はあるかという山道が・・

 

 

 

全て凍っていました。

 

 

 

 

一部に霜が降りてる、とか
そんなレベルじゃないのです。

 

 

 

全て凍っていました。

 

 

全て。

 

 

足のつく場所、全てです。

 

 

 

ツルツル、テカテカの
道とは言えない道。

 

 

 

なんせ、この日は5月頭。
他にアタックしている人もいない。

宿だってガラガラだったんだから
誰もこんな時期に来ないよ・・。

 

 

 

本当にもう、
これ見たとき、

二人共、言葉を失いました。

 

 

 

しばらく唖然として

『どうする?登る?』

 

 

 

この山を越えたらフィッツロイがある、と
信じて疑わなかった私は

『行くしかない。』

 

 

 

 

たぶん、
ここまで来て引き返したら

絶対に後悔する。

 

 

もう二度と来ないよ、きっと。
後悔するならやって後悔しよう。

 

 

そう言って、
二人で

この氷の山に挑みました。

 

 

 

 

氷河トレッキングをしたときの
靴に付けるアイゼンでもあれば何とか登れそうな、この道も

 

私たちはただの靴。

 

 

 

靴底だって磨り減っていて、
滑る、なんてもんじゃなかった。

 

 

 

『這いつくばる』という言葉がピッタリ。

 

 

 

 

冷たい氷に手をついて、
しがみついて、

上を見るたび
悲鳴を上げたくなるほど遠い。。

 

 

 

滑って落ちたりでもしたら
確実にそこに待っているのは

 


 

 

 

みんなが歩いて出来たであろう
道とは言えない道は

とてもじゃないけど歩けない。

 

 

少し氷の薄い、
【道】の脇を、慎重に這いつくばって行きます。

 

 

 

 

何度も泣きそうになった。

 

 

 

上を向いて
まだまだ続く氷の山を見て

 

『絶望』という言葉が
生まれて初めてこんなにも胸に突き刺さりました。

 

 

 

滑って
『キャアァァ!!!』と叫ぶたび、

るーさんは後ろを向いて
『大丈夫か!?』

 

 

るーさんが
『うわぁぁ!!!』と叫ぶたび、

私は
『大丈夫!?』

 

 

 

一人じゃなくて本当によかった。

 

声を掛けてくれる人、
声を掛けられる人がいて、

本当によかった。

 

 

 

もうダメ・・限界・・もう一歩も出ない

 

 

 

というところで
いつも励ましてくれる。

 

 

 

 

もう、それだけが

折れそうな心を
繋ぎとめてくれていました。

 

 

 

そして、
ようやく、、、

 

頂上に来た!!!

 

 

体力も精神も限界。
やっと見れる。

黄金に光った
フィッツロイが・・

 

 

 

 

山のてっぺんまで来た私たちは

 

目を疑いました。

 

 

 

 

 

 

もう一つ奥に・・山。

 

 

 

 

 

もうこの時は感情が無かった。
っていうくらい、無言でした。。

 

しばらく立ち尽くして
無理矢理こう思いました。

 

 

 

『限界は、自分が限界と感じる3倍先にある!』

 

 

 

 

昔、競泳をやっていたとき
友達が言っていました。

それ聞いて、私は、

『なんだじゃあ、限界って、あって無いようなもんなんだね。』

 

そう思って、
どんなに辛い練習からも逃げませんでした。

 

 

 

合宿でクタクタで寝た次の朝、
体が動かなかったときも

過呼吸になって
息が出来なくなったときも

酸欠で意識もうろうとしたときも

 

泳ぎ続けた・・!

 

 

 

だって、限界って
自分が感じる3倍先にあるんでしょ?

高校生の私は
限界を、限界だと思っていませんでした。

 

 

 

その時の自分を思い出しました。

 

 

 

競泳をやっていたときは

 

私の人生これ以上キツイ事は、
もうたぶん二度とないな。

 

っていつも思っていたけど

 

 

今。

 

 

今まさにそれが来た!!

 

 

 

 

 

『辛い』という感情を捨て、
とにかく登りました。

 

 

 

 

でも、神様は
そんな時にこそ

 

さらに厳しい試練を与えます。

 

 

 

 

 

上に登れば登るほど
台風を超えるような強風。

 

風速で言ったら
20mは超えてるんじゃないかな。泣

 

 

さらには

雪。

 

 

前が見えない。
前に進めない。

 

 

 

そして

死ぬほど寒い。

 

 

 

 

でも、私たちは進み続けました。

 

 

もうすぐ夜が明ける。
急がなきゃ。

黄金のフィッツロイが見れない。

 

 

 

 

ふらふらになって辿り着いた場所には
聞いていた、湖がありました。

 

 

『ここだ・・。』

 

 

 

お母さん。
来たよ。

諦めなかったよ。
私まだ生きてるよ。

 

 

 

 

 

死ぬ思いで辿り着いたフィッツロイは・・

 

 

 

 

 


真っ白だった。

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フィッツロイが湖の後ろにあることもわからないくらい・・

 

 

 

雪交じりの強風が
感覚のなくなっている肌に突き刺さる。

 

 

 

太陽さえ出れば・・

 

太陽さえ出てくれれば助かる。

 

 

 

早く・・

 

 

 

早く・・

 

 

 

 

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神様はいない!!・゚・(ノД`;)・゚・

 

 

 

 

 

この時が一番きつかった。笑

立ってるのがやっとなんです。

 

 

 

気を抜いたら倒れてしまいそうなくらい、

意識もうろうとして
あまりに手の感覚がなくて

指の一本でもどっかで切り落としてても
気づかないくらい。(´;ω;`)

 

 

 

このときばかりは

『限界きた!!!!』って確信した。笑

 

 

 

本当は、
もう少し風が止んで

雲が取れていくのを期待して
待ってもよかったんですが、

 

 

 

本当に、

 

 

 

もう本当に、

 

 

 

そんなのどうでもいい!!!!

 

 

 

 

って思うくらい
一刻も早く下山したかった。笑

 

寒いの限度が超えてる。

 

 

 

マジです。
こんな寒さ、人生で経験したことありません。

 

 

 

 

『下りよう。うちら死んじゃう。』

 

 

 

 

決断は早かったです。

 

 

 

 

 

すぐに下山を開始する私たち。

 

しかし、そこに待っていたもの

 

 

 

それは・・

 

 

 

続きはまた次回っ!

 

 

次回、

死を覚悟した日 -続編-

 

 

 

お楽しみにっ!笑