こんにちはっ!
本日の日記は
モロッコ、ラバト。
何をしにここ、ラバトという街に訪れたかと言いますと、
この後、西アフリカ、
モーリタニアまで南下するためです。
モーリタニアという国に入国するには
ビザが必要なんですが
ここラバトで
そのビザが取れると聞き、
他に目的もなくここにやって来ました。
ビックリするほど狭いバスに乗り、数時間。
ラバトに到着。
到着してすぐ、
安宿が集まる旧市街に向け
どのバスに乗ればいいのか聞きまくり
バス停でバスを待っていた時でした。
『どこに行くの?』
どう見ても優しそうな、
少しハンサムな兄ちゃんが話しかけてきました。
『旧市街だよ。』
すると、その人は
『乗り合いタクシーならバスと変わらない料金で行ける。
僕も旧市街に行くから、一緒に行かないか?』
『あ、あぁ・・じゃあ・・。』
しばらくして、
旧市街に着き
タクシーを降りると
その人は
『ホテルはどこだい?』
『これから探すんだ。』
るーさんが答えます。
英語が出来ない私は
どうしても、
会話の出来る、るーさんにバトンタッチしてしまいます。
・・の、くせ
この時思ったのは、
なんでこれから探す、とか言うの・・
絶対ホテル紹介する、とかなって面倒くさくなるって。。
そして
その人は
『じゃあ、一緒に探してあげるよ。』
ほら。
前回の強引さはないものの、
また嫌なことに巻き込まれるって。。
でも何も言えない私。
その人が歩く後ろを
ただただ付いて行く。
昼間だし、
危険な目には遭わないよね・・?
その人は
少し歩いた路地の奥にあるホテルに
値段を聞きに行ってくれ、
『ここはどうだ?』
値段を聞くと
安宿の相場。
見た目もキレイで
断る理由はありませんでした。
『じゃあ、、ここにしよっか・・。』
お礼を言って
別れようとすると、
その人は
こう続けました。
『僕の家はすぐそこなんだ。うちにおいでよ。』
私は、
モロッコに入ってすぐ
怖い思いをしてるし
またなんか騙されたりするんじゃないか。
家にそんな簡単に外国人を招きいれるかな?
もし家に入って、なにかされたら
それこそもう、逃げ場がない。
ものっすごく警戒していました。
英語がわからない、というのもあるけど
相手にしないのが一番。
うまく話を切れないるーさん横目に
私は、ほとんど話を聞かず。
そのときはお誘いを断り、
その人には帰ってもらったんですが
るーさんから話を聞くと・・
『小さい妹がいるんやて。旅行好きで、俺らといろんな話したいって。』
『そうなんだ~・・、でもうちらもまだ明日の予定も決めてないし、断ろうよ。携帯聞いた?』
『携帯持ってないんやて。』
絶対怪しい。。
身なり的に貧しい感じには見えなかったし
本当にただの食事のお誘いか?
『それ、絶対怪しいって。』
『でも悪い人には見えなかったけどな~・・』
『この間、あんなに怖い思いしたのに。。?』
危機感がないるーさんに、
ちょっとイラつく私。
『とりあえず、明日また来るって言ってたわ。』
『え!?来るの!?』
ちゃんとハッキリ断ってよ・・。
予定あるから、って。
面倒くさいことになったな。。
私は、
まともに会話が出来ないので
その人とのやり取りを、
るーさんに任せていましたが
なかなか、ハッキリ断らないるーさんに
ちょっとイライラし
るーさんは、るーさんで
全部俺に任せておいて
それはないだろ・・
だったら自分で言えばいいのに。
と、私にイライラ。
お互いちょっとイライラしながら
その日は終わりました。
次の日、
本当に、その人はやって来た。
『お昼ごはんを用意したから、うちへおいで!』
るーさんが対応する横で
私は体調も優れなかったので
『体調悪いって言って。帰ってもらおう。』
そして、わざわざ尋ねてきたその人を
私たちは、
追い返してしまったのです。
そして、
その後、
るーさんは一人で街歩きへ。
私は宿で寝ていました。
すると、
トントントン。
ドアをノックする音。
あ、るーさん戻って来たのかな?
扉を開けると、
さっきのあの人。
今度は何。。?
何か英語で話すその人の言葉がわからず、
私は
『彼は今いないよ。』と一言。
するとその人は
『そうか。これ。用意していたごはんを持って来たんだ。』
恐らくこんなことを言って、
アルミホイルで覆われた
お皿を差し出してきた。
『え?』
固まる私。
そして、
彼はまた何かを言って
すぐに去って行きました。
『サ、サンキュー・・』
ドアが閉まる直前に言った
サンキューはたぶん、
彼には届いていない。
お皿と一緒にフォークとスプーン。
私の手に乗せられた
このお皿は
とっても温かかった。
その温度を肌で感じた瞬間、
私の心の氷が
スーッと解けていき
ヒドイ事をした。
って、
金づちで頭を殴られたように、
ハッと気づいた。
ちゃんとお礼言わなきゃ。
名前も聞いてない。
お皿を置いて、また扉を開けて
外まで追いかけたときには
その人はもういなかった。
部屋に戻って
私は泣きました。
警戒して、一切心を開かなかった私。
信じようとしていたるーさんを止め、
冷たく追い返した。
ドアを開けたときの
お皿を手に持って立っていた
その人の顔が忘れられない。
心がギューってなった。
その人には、
本当に小さい妹がいたのかもしれない。
その人は
本当に旅行が好きで
純粋に私たちと話したかったのかもしれない。
名前も知らない【その人】は
次の日も、その次の日も
お皿を取りに来ることはありませんでした。
私たちの、西アフリカの旅は
こんな悲しい出来事から始まったのです。
ではっ!